悲しい事件が後を絶ちませんが「佐世保女子高生殺害事件」を覚えていらっしゃいますか?
佐世保の当時高校1年生・徳勝もなみによる猟奇殺人事件です。
クラスメイトである松尾愛和さんを殺害し、さらに遺体の一部が解体するという、おぞましい事件は世間を震撼させました。
この事件は、罪を犯した徳勝もなみを知れば知るほど、さらに闇深さを感じます。
あってはいけない事、思わず目をそむけたくなるような事件でしたが…。
しかし、同じ事が起らぬためにも、今一度この事件を振り返ってみるべきと思い「佐世保女子高生殺害事件」についてまとめてみました。
世間に衝撃を与えた佐世保女子高生殺害事件の概要をまとめてみる
まずは、佐世保女子高生殺害事件とは、どのような事件だったのでしょうか?
こちらの女子高生が起こした猟奇殺人事件は、世間に大きな衝撃を与えました。
- 日時:2014年7月26日
- 犯行現場:長崎県佐世保市内の加害者のマンション
- 加害者:当時、佐世保北高校1年生・徳勝もなみ
- 被害者:徳勝もなみのクラスメイト・松尾愛和さん
- 犯行の動機:「体の中をみたかった」「人を殺して解体してみたかった」
松尾さんの後頭部を工具で複数回殴り、リード(犬の散歩に使う引綱)で首を絞めるなどして殺害。
娘が帰ってこないことを心配した松尾さんの両親が、警察に捜索願を提出。
翌日の早朝、警察が自宅マンションを家宅捜索し、逮捕されました。
長崎県警察によると、遺体は首と左手首が切断されており、胴体部分にも刃物で切ったとみられる複数の傷が確認されたとのことです。
二人の間にトラブルはありませんでした。
被害者はアニメ好きで意気投合した中学時代からの友人
被害者となってしまった松尾さんは、徳勝もなみとは中学時代からの友人関係だったそうです。
アニメ好きという共通の趣味があったため意気投合していました。
その後、二人は同じ高校に進学し、そこでもクラスメイトとなります。
やがて、徳勝もなみは不登校になってしまいましたが、松尾さんは交流を持ち続けたとのこと。
一見、仲の良い友人で、こんな事件が起こるとは夢にも思いませんよね…。
「自閉症スペクトラム障害」だったことが判明
徳勝もなみは、少年審判前に刑事責任能力の有無を問うために、医療施設にて5ケ月間かけて精神鑑定が行われました。
医療関係者より刑事責任能力があるとの認定を受けていたようです。
そのため長崎地検側は、「刑事処分相当」の案件として成人と同じ基準での刑事裁判を望んでいました。
しかし、事件当時15歳だったため、原則として刑事処分される年齢に到達していなかった事から…。
長崎家庭裁判所の判断により第三種少年院(医療少年院)送致という「保護観察処分」に留まることになりました。
第三種少年院とは、心身に著しい障害があるおおむね12歳以上26歳未満の者を収容する施設。旧法の医療少年院に相当。
引用:ウィキペディア
長崎家庭裁判所の判断に対しては、長崎地検側から異例の批判的コメントが出る事となりました。
あまりにも特異な事件のため専門家などの意見も分かれました。
「家裁は年齢にとらわれず、少女を逆送し刑事裁判を受けさせるべき」
このような批判の声があがる一方…。
徳勝もなみは、重度の「自閉症スペクトラム障害」であることが明らかとなっている事から…。
治療を優先した家裁の判断に理解の声もありました。
- 刑務所では精神医療の面からのケアが十分行えない
- 長期収監による弊害が大きく、社会復帰が困難になる
彼女の将来を思えば理解できなくもないですが、被害者の家族の気持ちを思うと何とも複雑ですよね…。
徳勝もなみの2024年現在は第三種少年院(医療少年院)から出所か
徳勝もなみは、2015年7月に第三種少年院(医療少年院)への送致が決定。
凶悪犯罪の加害者ということもあり、どこの少年院に送致されたかについては公表されていません。
しかし、第三種少年院に区分される施設は限られています。
- 東京府中市・関東医療少年院
- 京都府宇治市・京都医療少年院
このどちらかに収容されているものと思われます。
関東医療少年院は2019年4月までは存在していましたが…。
現在は東京都昭島市の国際法務総合センター内の東日本少年矯正医療・教育センターとして統合閉所されています。
現在は、単独の医療法において設置された病院機能を持つ医療少年院としては京都医療少年院が唯一となります。
徳勝もなみは、京都医療少年院に送致されたという噂もあります。
2024年現在25歳となった徳勝もなみ。
弁護団は現在も3カ月に1回程度の頻度で面会しているそうです。弁護団と手紙を1カ月間に数回やりとりすることもあるとのこと。
2024年現在の最近の様子については…。
- 年を経るほどに思い悩むことも増えている
- 自分(事件)と向き合い続けることの難しさや苦しさ・罪を背負っていくことの厳しさ・自分の負うべき責任などを感じるようになっている
- 現在も更生プログラムの途上にあり、事件に関することを語ることもある
- 犠牲になった同級生の命日に合わせて遺族宛てに謝罪文を書いている
弁護団の話によると、今後については…。
「まだ本格的な社会復帰を考える段階ではないが(それを前提とした)支援態勢などを検討している」
引用元:西日本新聞
と語り、「二度と過ちを犯すことなく生きていってほしい」という思いも付け加えたとのこと。
第三種少年院では、保護処分在院者を26歳まで収容可能。
徳勝もなみが出院する時期は2024年頃になる可能性が高いのですが…。
一部では既に出所したとの噂も流れている徳勝もなみさん。成人になった彼女は、果たしてどのような女性になっているのでしょうか?
徳勝もなみの裕福な家庭環境と幼い頃からあったサイコパス気質!
徳勝もなみは裕福な家庭に生まれました。
誰もがうらやむ裕福なエリート一家
父親の徳勝仁さんは有名な弁護士で、資産家。
スピードスケート選手としても活躍しています。
一時期は年収1億円超と言われるほどのやり手で、長崎県内でも有名な人物でした。
母親の徳勝宏子さんは東京大学を卒業後に市の教育委員を務めるなど、教育熱心な人物でした。
長崎県スケート連盟会長もしていました。
5歳上の兄・徳勝丈さんがいますが、やはり優秀な人物で早稲田大学法学部に進学しています。
徳勝もなみもスピードスケートをしていて、父・兄と共に長崎県大会優勝しています。
長崎県スケート連盟会長の母、父、兄の家族全員で国体にも参加。
- 2012年には佐世保ピアノコンクールで準優勝
- 2014年2月に美術作品展の版画部門で県知事賞を受賞
徳勝もなみは、たくさんの才能に恵まれた人物でした。
幼い頃から医学書を読むなど非常に頭のいい子で、「文武両道、多才だ」と称され進学校へ通っていました。
一方、「頭がよすぎる」「特殊な子」と言った評価もありました。
小学生時代から頭が良かったが変人扱いをされていた
賢すぎる徳勝もなみですが、小学生時代からすでに変人扱い…。
- 感情の起伏が激しい
- 突然大声を上げたり泣き出す
- あまり笑わない
- 自分のことを「僕」と言う
以上のことなどから、文武両道と称されながらも「頭が良すぎて変わっている」「暗い」と同級生に思われることも。
さらに小学生の頃から家出を繰り返し、母親は頭を悩ませていたそう。
サイコパス気質はこの頃からからあったようです。
愛読していた医学書を参考に猫を解剖するなど問題行動を起こし、地元の警察からマークされていました。
残虐性は猫だけでなく同級生にも向けられるようになる
徳勝もなみの残虐性は、小学6年になると同級生たちにも向けられてしまうことに…。
2010年12月に給食への薬物混入事件を起こします。
気に入らないクラスメイトの給食にベンジンや液体漂白剤を混ぜるといった嫌がらせをしました。
時には「一緒にやらない?」と同級生を誘ったこともあったそうです。
最初の被害者となった女子生徒の給食に4度薬物を混入。
しかし、女子生徒が被害を黙っていたため事件が表面化せずに済んでいました。
やがて、特に交流もない男子生徒の給食にも薬物を混入するなど行動がエスカレート。
しかし、この男子生徒はすぐに担任教師に被害を報告。
徳勝もなみの嫌がらせ行為のすべてが表面化することになります。
市の教育委員会が調査に乗り出すほどの大騒動へと発展しました。
この時は、母親が被害者の両親たちに土下座行脚したことから、裁判沙汰は避けられました。
当然のことですが、その後はクラスから孤立し、不登校気味となってしまったそうです。
アナウンサーを夢みる中学生時代も解剖は止められなかった
その後、環境を変えるために中学受験をします。
そして、中高一貫教育の名門校・県立佐世保北中学校に合格。
夢がNHKアナウンサーなる事で放送部に所属。
落ち着いたようにも見えましたが、実際は小動物への虐待癖は改善しておらず、たまに猫を解剖することも。
この不気味な行動は学校でも噂になり、徳勝もなみを敬遠していた生徒もいたようです。
娘の異常行動から母親は、中学を卒業後は海外留学させようと考え、2012年より徳勝もなみの留学先を探していたとのこと。
母親の病死と父親の再婚から異常な行動が加速
娘を更生させようとしていた母親の宏子さんですが…。
徳勝もなみが中学3年生に進級した2013年10月に膵臓がんで帰らぬ人となってしまいました。
そして、2014年3月には父・仁さんの再婚話が浮上。
また、徳勝もなみの留学話が白紙に戻るなど、彼女にとって精神的に追い込まれる事が続きます。
留学の取り消しは、留学先で娘が犯罪を犯す可能性を危惧したからとも考えられます。
どちらにしても、父親に対して酷く反発するようになったようです。
ある日、自宅で就寝していたところを金属バットで襲撃されるという事態が起こりました。
仁さんは頭蓋骨を陥没骨折してしまい、入院を余儀なくされます。
その後も、包丁を持って仁さんを襲おうとするなど、問題行動は悪化するばかり…。
これは、家に居ながらも生きた心地がしませんね。
高校は3日間だけ登校・マンションで一人暮らしをしていた
そして、2014年4月より佐世保市内のマンションで1人暮らしを始めることになりました。
高校生活は、不登校状態に陥ります。
高校1年の一学期はわずか3日間しか登校しませんでした。
学校側も、中学時代や高校の担任教師をマンションまで派遣。
悩みの相談にのるほか、精神科医を交えてカウンセリング治療を受けさせるなど、改善の糸口を探していたようです。
誰が見ても異常な状態ですからね…。
そして、カウンセリングの結果は、恐ろしく悪かったようで…。
担当精神科医は、「このままでは人を殺すかもしれない」と父親に告げています。
後に起こる「佐世保女子高生殺害事件」の予兆を感じとっていたと言われています。
一方、妻を亡くした後の仁さんは、夜な夜な繁華街に繰り出すように。
婚活パーティーで知り合った30代前半の女性と交際するようになります。
この行動に否定的な意見も多いですが、宏子さんの「必ずすぐ再婚して」という遺言もあったという話もあります。
いずれにせよ、多感な時期の徳勝もなみにとっては、母親への裏切り行為に感じたようです。
父娘の関係の悪化ぶりは酷かったようで…。
2014年2月には、徳勝もなみが父方の祖母と養子縁組をしており、仁さんの戸籍から外れています。
その後、徳勝もなみの小動物への虐待行為は止まらず…。
2014年3月頃になると、徳勝家の庭先やガレージで解体された猫の死体などが発見される事が続いたそうです。
そんな中、仁さんが2014年5月に交際していた女性と再婚。
同年の7月になると娘を精神病院に入院させるために奔走します。
「人を殺して解体してみたい」と医師や継母に明かしていたそう。
仁さんは世間体を捨てて、娘の犯罪阻止を優先するようになっていました。
事件前日の2014年7月25日には、「佐世保こども・女性・障害者支援センター」に娘のことを電話相談しようと試みましたが…。
この時、受け付け時間が終っていたことから、後日また連絡するように促されてしまう結果に終わりました。
そして翌日に、あの、痛ましい事件が起こってしまったのです。
あの事件の結果人生が狂ってしまった徳勝もなみの家族のその後
さて、事件後の家族はどのような道すじを辿ったのでしょうか?
父親の徳勝仁は自殺して祖母は病死した
父親の仁さんは、事件発覚後は猛批判を受けます。
有名な人物だったためバッシングは激しく、親としての接し方などの非難が多かったようです。
佐世保市内で「超」がつくほどの売れっ子弁護士が、日本中からの非難の嵐を浴びるという、一気に坂道を転げ落ちるかのような展開になってしまいました。
弁護士を通じて謝罪文を発表していますが、その一文にこのような言葉がありました。
「今は私自身生きる自信さえ喪失しかけておりますが、私の命をもってお詫びしても償うことはできない。」
引用元:livedoorNEWS
しかし、そんな言葉とは裏腹に…。
2014年10月5日(事件から約2ヶ月後)自宅で首つり自殺を図り、この世を去りました。
再婚相手が家を空けたタイミングだったそうで、知人が発見したそうです。
同年8月2日に仁さんに会った弁護士によると「私は生きていていいのでしょうか」と悩んでいたといいます。
仁さんは7月27日の事件発覚直後より、時間が経つほど落ち込んでいたそう。
うつのような状態で、沈んだりよくなったりを繰り返していたとのことです。
さらにその後を追うように、徳勝もなみさんの面倒を見ていた祖母も、失意のうちに病死されたそうです。
事件後も家族を支えようとするのは継母のみ
父親の再婚相手、徳勝もなみの継母は、事件後もずっと家族を支えようとしていました。
「夫を支える」と言って頑張っていましたが、自殺をしてしまったことに責任を感じていました。
夫亡き後は、「徳勝もなみを支える」と、実家に帰ろうしなかったそうです。
さらに、徳勝もなみの兄である長男の、「父親のような弁護士になりたい」という夢を叶えてやりたいとの思いがあったそうです。
当時、大学生だった長男。
司法試験の勉強をして独り立ちするくらいまでの学費や生活費を用意するために、自分の財産を整理したとも言われています。
通常なら世間を震撼させる事件に巻き込まれて、即離婚となりそうですが…。
強く、優しく、責任感のある方のようですね。
徳勝もなみの兄の徳勝丈は早稲田大学法学部を卒業し弁護士に?
兄・徳勝丈さんは、早稲田大学の法学部に在籍していました。
幼少期から優秀であった兄の夢は、父と同じ弁護士になる事でした。
しかし、この事件により大きな後退を余儀なくされました。妹の犯した事件から夢を絶たれてしまったのです。
しばらく彼の進路が明らかになっていなかったのですが、どうやら2021年1月5日の早稲田リーガルコモンズ法律事務所に就職したことが判明しました。
紹介文章の中には「長崎県佐世保市出身」であることや「商事法務を中心として先端的法分野に取り組んで行く所存」と力強い言葉が記載されています。
あれだけ大変な事があったにも関わらず、めげずに頑張っている姿は本当に素敵ですし格好良いと思うので、是非弁護士として頑張ってほしいですね。
事件から学べることは手遅れにならないよう早目のサポートの重要性
改めて、この事件を振り返りましたが報道当時と同じく、重たく闇深いものを感じてしまいます。
この、痛ましい事件は避けられなかったのでしょうか?
ここで、注意しなければいけない事は、自閉症スペクトラム障害やサイコパス気質だからと言って、その全ての人が犯罪行為に及ぶわけではありません。
しかし、殺人を犯しそうな兆候がみえたら、日頃のケア以外に早目に手立てを考える事が必要です。
徳勝もなみは小学生時代から、すでに強いサイコパス気質があったので、当時から積極的に治療なりの行動をとる必要はあったと思います。
しかし親はまさか、ここまでエスカレートするとは思いもしなかったのでしょう。
文武両道すぎたので、その光に彼女の闇の部分が隠れてしまったのでしょうか。
一方、報道では知られていない普通の少女の部分もあった事でしょう。
あの残酷な事件を起こすなんて想像出来ませんし、普通の人には発想にさえありませんからね。
それだけに、全ての人に衝撃を与える事件となりました。
幼い頃からの精神的な問題が、じわじわと体の成長とともに増大してしまったように思えます。
家族や専門家の早目のサポートの大切さを改めて感じる事件でした。
コメント
少年法はカビの生えた悪法だね。この犯人は大人と同じように裁いてほしかった。殺人に関しては少年法は適用しないようにするべき。継母を美談にしてるが、被害者に賠償金は支払ったのか?遺産目当てで離婚しなかった可能性もあるし、なんとも理解できない。