MBS(毎日放送)の女性記者が橋下徹氏との記者会見でバトルを繰り広げ、「クビになったのでは?」と噂された事件。覚えている方も多いのではないでしょうか。
あの女性記者の名前は斉加尚代(さいか ひさよ)さん。2012年の記者会見で「勉強不足」と言われ、大バッシングを受けました。
それから10年以上が経った今、斉加さんはどうしているのか。本当にMBSをクビになったのか、気になりますよね。
結論から言うと、斉加さんの現在はかなり意外な展開を見せています。
MBS女記者・斉加尚代はクビになった?現在の活動まとめ
- 斉加尚代さんはMBSをクビになっておらず、現在もMBSドキュメンタリー報道部ディレクターとして活躍中
- 映画『教育と愛国』(2022年)が高い評価を受け、JCJ大賞を受賞
- 2023年には日本外国特派員協会から「報道の自由賞」を受賞している
- 橋下会見での「勉強不足」発言は、実は橋下氏側に事実誤認があった
- 「本名は崔尚代で在日朝鮮人」という噂は、本人が「事実無根」と否定している
| 名前 | 斉加尚代(さいか ひさよ) |
|---|---|
| 生年月日 | 1965年生まれ |
| 学歴 | 早稲田大学文学部卒業 |
| 職業 | MBS(毎日放送)ドキュメンタリー報道部ディレクター |
| 入社 | 1989年 |
| 代表作 | 映画『教育と愛国』(2022年) |
斉加尚代さんはMBSをクビになっていません。2026年現在もMBSに在籍し、ドキュメンタリー報道部ディレクターとして精力的に活動しています。
「クビになった」という噂はあくまでネット上で広まったガセ情報でした。むしろ会見騒動の後、斉加さんはドキュメンタリーの世界で大きく飛躍しているんです。
現在はドキュメンタリー報道部ディレクターとして活躍
橋下会見のバッシング後、斉加さんは司法キャップを2年務めました。しかしその時期は「自分の座標はどこなのか、物の見方や取材手法はこれまで通りでいいのか」と、自身の立ち位置に迷う日々だったそうです。
後輩のデスクと意見が合わなくなり、メディアと社会の関係が変化していく中で葛藤を抱えていたといいます。
転機となったのは、沖縄の琉球新報への密着ドキュメンタリーでした。2015年7月に映像を専属で担当するドキュメンタリー報道部へ異動し、ここから斉加さんの新しいキャリアが始まります。
2022年5月には、自身が手掛けたドキュメンタリーをもとにした映画『教育と愛国』が劇場公開され、大きな話題を呼びました。
さらに2024年3月には『記者たち〜多数になびく社会のなかで〜』が放送されるなど、現在も精力的に作品を発表し続けています。
手掛けた番組で数々の賞を受賞
斉加さんのドキュメンタリー作品は、数多くの賞を受賞しています。主な受賞歴を振り返ってみましょう。
『映像’17 沖縄さまよう木霊―基地反対運動の素顔』(2017年1月)では、民間放送連盟賞テレビ報道部門優秀賞、第37回「地方の時代」映像祭優秀賞、第72回文化庁芸術祭優秀賞を獲得しています。
『映像’17 教育と愛国―教科書でいま何が起きているのか』(2017年7月)では、第55回ギャラクシー賞テレビ部門大賞を受賞。さらに第38回「地方の時代」映像祭優秀賞にも選ばれました。
個人としても「放送ウーマン賞2018」を受賞しています。
2022年8月には映画『教育と愛国』で日本ジャーナリスト会議の第65回JCJ大賞を受賞。同年、『現代用語の基礎知識 2023』で「2022年のキーパーソン10人」にゼレンスキー大統領やイーロン・マスクとともに選出されています。
2023年7月には、日本外国特派員協会から「報道の自由賞」を授与されました。クビどころか、報道の世界で高い評価を受け続けているんですね。
著書の評価は賛否が分かれる
斉加尚代さんは著書も出版しています。2018年6月に『フェイクと憎悪』(複数著者による共著)、2019年5月に『教育と愛国―誰が教室を窒息させるのか』を出版しました。
『教育と愛国』の評価を見てみると、称賛する声がある一方で否定的なレビューも目立ちます。斉加さんの取材テーマが政治的な内容を多く含むため、賛否が分かれやすいのかもしれません。
橋下会見での「勉強不足」というイメージが先行して、内容を読まずに低評価をつけているのでは?と感じるレビューもちらほら。好き嫌いが分かれる作風であることは確かですが、固定観念で判断されている側面もありそうです。
斉加尚代が「勉強不足」と言われた橋下会見の真相
斉加尚代さんの名前が一気に知れ渡るきっかけとなったのが、2012年5月8日の橋下徹大阪市長(当時)の記者会見でした。ここから「MBS女記者クビ」の噂が始まったわけですが、実際はどんな内容だったのでしょうか。
橋下徹に逆質問されコテンパンに
2012年5月8日、大阪市長の記者会見に臨んだ斉加さん。公立学校式典での「君が代斉唱」について、教職員に起立・斉唱を義務付ける条例に関して質問を始めました。
当時、大阪府では教職員の国歌斉唱時に「口元チェック」を行った民間人校長がいたことが話題になっていました。斉加さんは口元までチェックすることが妥当かどうかを問いかけたのです。
ところが橋下氏は「(起立斉唱の)命令は誰が出したんですか?」と逆質問。斉加さんが「市長がご存知のことを私に尋ねていらっしゃるだけですよね」と返すと、橋下氏は「答えないと僕も質問に答えない」と応酬しました。
斉加さんはMBSのニュース番組VOICEの担当記者で、「国歌起立斉唱義務問題」の特集のために橋下市長のコメントが必要だったとのこと。そのため引き下がるわけにはいかず、結果的に30分近い長いやりとりになってしまいました。
「これくらいにしときますけども」の名場面
この会見で最も話題になったのが、最後の斉加さんの一言でした。
橋下氏の逆質問に即答しない斉加さんに、橋下氏のボルテージはますますヒートアップ。収拾がつかないまま時間だけが過ぎていきます。
すると斉加さんは最後に、笑みを浮かべながら「これくらいにしときますけども…」と、ある種の余裕すら感じさせる言葉を口にしました。
これに橋下氏は「”これくらいにしときます”ってなんですか?失礼な言い方だ」と呆れ顔。この場面は動画で繰り返し再生され、「また観たくなる」と何度も視聴する人が続出するほどの名場面となりました。
視聴者からの批判が続出
この記者会見の動画がネット上で広まると、斉加さんに対して猛烈な批判が殺到しました。「質問の趣旨が見えない」「しつこすぎる」「何が言いたいのか分からない」といった声が次々と上がり、ネット上は大炎上状態に。
何者かが匿名掲示板に斉加さんの実名を書き込んだことで、顔写真や経歴まで拡散される事態に発展。MBSには非難メールが1,000件以上届いたといいます。
橋下氏の鮮やかな返しと対照的に、斉加さんには「無知な記者」というイメージがついてしまいました。ここから「MBSをクビになったのでは?」という噂が広がっていったわけですね。
一方で、橋下氏を本気で怒らせた斉加さんの度胸を評価する声もあったようです。「よくぞ橋下に楯突いてくれた」「メンタルが強い」といった反応も一部では上がっていました。
実は橋下徹の発言に間違いがあった
ここで注目したいのが、あの会見で実は橋下氏の方に事実誤認があったという点です。
橋下氏は「命令は誰が出した?」と逆質問し、斉加さんが「教育長」と答えると、「とんでもないですよ!もっと調べてくださいよ。教育長が命令出せるんですか?」と畳みかけました。
橋下氏は「命令は教育委員会が出した。自分は条例を作っただけだ」と主張しました。
しかし実際の通達は平成24年1月17日付で「教育長」名で府立高校校長と教職員宛に出されていたのです。つまり斉加さんの回答がドンピシャの正解で、間違っていたのは橋下氏の方でした。
さらに、市長の記者会見は行政チェックのために行われるもの。たとえ記者の知識が不十分であっても、質問に答える義務は市長側にあるという指摘もあります。
「勉強不足の記者には答えない」という姿勢は、行政の長としてどうなのかと疑問を呈する声も上がっていました。
ただ、会見の流れ自体が橋下氏のペースで進んだため、この事実はあまり広く知られていません。「橋下氏が正論で記者を論破した」というイメージだけが定着してしまったのは、ちょっともったいない気もしますね。
MBSの編集も批判の対象に
会見後、MBS(毎日放送)は橋下氏が反論する部分のみを編集して自社のニュースで放送しました。まるで市長が記者を一方的に追い詰めているかのような構成になっていたのです。
当時、メディアの報道姿勢に不満を持つ層がネット上に多くいたこともあり、MBSに対して「捏造」「恣意的報道」「偏向」といった批判が殺到。
MBS内部からのリーク情報として「記者本人が編集に圧力をかけた」「上層部が市長批判を指示した」という話も出ました。上司の沢田隆三氏(MBS報道主幹)の関与も取り沙汰されています。
しかしMBSは謝罪をせず、「MBSのデフォルトの質問の仕方であり、今後も続けていく。問題ない」と主張しました。
斉加さん自身は後にこう語っています。「橋下さんの強い言葉には、嫌な質問をする記者を黙らせようとする意図を感じた」とのこと。「黙れ」と言われたら反射的に「黙りません」となるのが記者の本能だと、先輩から教わってきたそうです。
この一連の騒動から「MBS女記者がクビになった」という噂が浮上しましたが、もともとMBSの意向もあっての取材だったため、解雇する理由はなかったと考えるのが自然です。
斉加尚代の経歴と「反日」の噂について
斉加尚代さんは1965年生まれ。早稲田大学文学部を卒業後、1989年にMBSに入社しました。報道記者としてキャリアをスタートし、書記次長(報道局ニュースセンター)を経て、現在はドキュメンタリー報道部ディレクターを務めています。
「崔尚代」が本名で在日朝鮮人?噂の真相は
斉加尚代さんには、本名は「崔尚代」で在日朝鮮人ではないかという噂がネット上で広まっています。
この噂の発端となったのは、橋下会見で注目を浴びた後、匿名掲示板に「この記者は在日で本名は違う」と書き込まれたことでした。
その「根拠」とされたのは、斉加さんの背景に写っていた団扇のようなものが朝鮮の団扇に見えるというもの。正直なところ、これだけで出自を断定するのはかなり無理がありますよね。
斉加さん本人は、こうしたネット上の情報について「事実無根の情報に基づく誹謗中傷」とはっきり述べています。
本人が明確に否定しているうえ、公式発表や信頼できるメディアでの裏付け報道も一切ありません。あくまで匿名の書き込みから広まった憶測にすぎないと言えるでしょう。
また、斉加さんが沖縄の基地問題や教育問題を取り上げたドキュメンタリーを制作していることから、一部では「左翼」「反日」と言われることもあります。ただし、取材テーマと本人の政治的立場は別の話。ジャーナリストとして社会問題を取り上げることと、特定の政治思想を持つことは必ずしもイコールではないですよね。
まとめ
橋下徹氏との記者会見で大きな注目を浴びた斉加尚代さん。MBSをクビになったという噂は完全にガセで、2026年現在もMBSに在籍し、ドキュメンタリー報道部ディレクターとして活躍しています。
むしろ会見騒動をきっかけに自分の方向性を見つめ直し、ドキュメンタリーの世界で数々の賞を受賞するまでになりました。映画『教育と愛国』やJCJ大賞、報道の自由賞など、その実績は目覚ましいものがあります。
「勉強不足」と批判された会見ですが、実は斉加さんの回答が正しかったという事実も見逃せません。ネット上の印象だけでなく、その後のキャリアも含めて見ると、斉加さんへの評価はまた違ったものになるのではないでしょうか。



コメント
「起立斉唱命令を出したのは」という部分の内容が、盛大に間違ってますよ。
橋下さんが言った通り、「命令を出したのは教育委員会」です。「教育委員長」ではありません。
「こういう命令が教育委員会から出ている」という通達(命令ではない。単なる連絡)が教育委員長名で出されているのです。
なので、「斉加尚代氏の主張は正しかった」というのは間違いです。橋下さんが正しい。
この会見と同じように、日本語は難しいですよね。仕事の流れを正しく理解し、日本語の意味も正しく理解していないと、彼らの議論(にもなってないですが)を正しく理解することは出来ないですね。