農業や牧畜業を基盤とするユートピアを目指す活動団体「幸福会ヤマギシ会」、通称「ヤマギシ会」。
ヤマギシズムという特殊な理念を持つこの団体の実態は不透明であり、度々事件を起こしていることで一般の人々から「やばい……」と警戒されています。
今回は、そんなヤマギシ会がどのような団体なのか、またヤマギシ会に関係しているという噂がある有名人についてまとめてみました!
宗教ではない?独特の理念を掲げる共同生活集団「ヤマギシ会」
出典:ヤマギシズム
`まずは、ヤマギシ会という集団について紹介していきます。
ヤマギシ会は宗教団体ではなく農業組合法人だとのことですが、一般人から見るとカルト宗教としか捉えられない独特の理念を掲げて活動しています。
具体的にどのようなことをしているのか、チェックしていきましょう。
ヤマギシ会の行動理念理念「ヤマギシズム」
出典:ヤマギシズム
ヤマギシ会は「ヤマギシズム」という独特の行動理念を掲げています。
この理念は「無所有共用一体生活」……平たく言うと「みんなで幸福になるために農業や牧畜をやりながら集団生活を送ろう!財産はみんなのもの=ヤマギシ会のもので、メンバー1人1人は何も所有する必要ないよ!」という感じですね。
ヤマギシ会は参画時に、財産の全てを団体に提供することを求めます。
恐ろしいのは、脱退時にも財産を返還しないというところ。
一度ヤマギシ会に参画したら、渡したお金は戻ってこないのです!
集団生活を送る「ヤマギシズム社会実顕地(ヤマギシ村)」
出典:ヤマギシズム
ヤマギシズムという理念のもと会員が共同生活を送る場所……それが「ヤマギシズム社会実顕地」、通称「ヤマギシ村」です。
ヤマギシ村は全国に26ヶ所あり、またアメリカやブラジルなど海外にも6ヶ所あるみたいですね。
そこで会員は、朝6時から夕方6時まで農業・牧畜などの仕事をして生活しています。
働いたらその分の給料が出るのが社会の常識ですが、前述したヤマギシズムの理念があるため、1人1人にお金は与えられません。
ヤマギシ村で作られた商品は、実は世間に流通しているのですが、その稼ぎは全て団体のものになります。
衝撃的すぎるヤマギシ会の集団生活の実態
ヤマギシ会に入ると、財産の全てをヤマギシ会に渡さなくてはいけないということは先に説明しました。
これだけでも衝撃的ですが、実はヤマギシ会に関する衝撃的な事実はこれだけではありません。
ヤマギシ村での集団生活の実態を知れば、多くの人がショックを受けるでしょう。
ヤマギシズムは自分の所有物は一切持たない、という理念です。
そのため、下着を含めて衣類は全て共用です。
出典:Wikipedia
潔癖症の人は絶対に参画できませんね……。
1日の行動予定は世話係の人が決めるため、自分の好きなように動くことはできません。
住民同士の結婚は調整機関が決めることになっており、恋愛結婚は不可能。
妊娠や出産も、調整機関が決めるそうです。
男性は再婚することが許されていますが、女性には許されていません。
出典:ヤマギシのむらnet
このことからわかるように、基本的に男尊女卑な集団であるようですね。
食事は1日2食で、住む場所はタダで提供されますが鍵がありません。
共同生活であるため、夫婦水入らずの生活はもちろん、家族だけの生活という考えもないようです。
……プライバシーって何だっけ?
子供たちを洗脳するヤマギシズム学園
出典:ヤマギシのむらnet
1985年、ヤマギシ会は、子供が24時間の集団生活を送る私塾「ヤマギシズム学園」を設立しました。
この学園のやばいところは「人間としての基礎的な一般知識・教養については義務教育の範囲まで学習できていれば十分」という考えのもと、高等部では進学に必要な勉強をさせないところです。
勉強しないなら何をするのかというと、労働です。
中等部の子供は週25時間、高等部の子供は1日16時間も強制的に労働させられるようです。
労働基準法って知ってる?と言いたくなりますね。
出典:ヤマギシズム
また、ヤマギシズム学園では、子供は親と2ヶ月に一度しか面会できないそうです。
親と引き離し、教育から遠ざけるのは洗脳の基本ですね。
さらに、ヤマギシズム学園の子供は1つの布団に2人で寝て、また食事も1日2食だけ……あまりに劣悪な環境です。
そして、日常的に体罰が行われているというのですから恐ろしいですね。
ヤマギシ会絡みのトラブル・事件
出典:X
ここからは、世間を驚愕させたヤマギシ会に関するトラブル・事件を紹介していきます。
先に紹介したヤマギシ会の活動内容を見れば、トラブルが起きない理由がありません。
実際にどのようなトラブルが起こり、ヤマギシ会の名前が世間一般に知られるようになったのか見ていきましょう!
山岸会事件
出典:Wikipedia
ヤマギシ会がまだ「山岸会」と呼ばれていた1958年、三重県に設立した共同体「山岸式百万羽科学工業養鶏株式会社」が、同県阿山郡伊賀町で鶏の飼育を目的とした開拓を開始。
しかしそれが難航したため、会員の知人らを「ヨウアリ、スグコイ」といった内容の電報で呼び出し、1959年7月の特別講習研鑽会に参加させたことが明らかになりました。
「家族が監禁され強制的に思想教育を受けさせられている」という訴えが多数寄せられ、捜索願も続出したことからついに警察が動きます。
その結果、三重県警は山岸会幹部9名を逮捕……代表の山岸巳代蔵は逃亡しましたが、やがて彼も逮捕されたそうです。
この事件で山岸会は、カルト集団的に報道されました。
ヤマギシズム学園の暴力問題
出典:X
1994年、ヤマギシ会の元参画者が「ヤマギシを考える全国ネットワーク」を結成し、学園内で子供が暴力にさらされていることを告発しました。
これを受けて、日本テレビ系のニュース番組『NNNきょうの出来事』が問題を追及。
結果「包丁で脅される」「風呂で熱湯をかけられる」「竹刀で強く殴られる」「部屋に呼び出され裸にされて殴られる」という被害者の証言が報道されることになり、世間のヤマギシ会への不信感は強まりました。
財産返還問題
出典:日本共産党
ヤマギシ会に入るとき、参画者はヤマギシ会に私有財産の全てを「無条件委任」しなくてはならず、またもし村を抜けることになっても財産は返還されません。
脱退者はほぼ無一文で社会へ放り出され、その結果路頭に迷ってもヤマギシ会が助けてくれることはありません。
極端な話「もうヤマギシ会とは関係ないのだから、お金がなくて死んでも知らないよ」ということです。
ヤマギシ会のこのやり方に不満を抱く元参画者は多く、1995年以降、元参画者が委任した財産の返還を求める裁判が起こされるようになりました。
ヤマギシ会に関係している・関係していると噂された有名人
ヤマギシ会がどんな集団なのかは、ふんわりと理解していただけたと思います。
次はヤマギシ会に関係がある、または関係があると噂された有名人を見ていきましょう。
どのような人物が、ヤマギシ会に関わっていたのでしょうか?
島田裕巳
島田裕巳(しまだひろみ)さんは日本の宗教学者で、作家や劇作家、大学講師としても活動している人物です。
オウム真理教寄りの発言をしていた島田裕巳さんは、ヤマギシ会にも興味を持ち、大学のゼミの調査でヤマギシ会を調査対象としていました。
彼はヤマギシ会の理念に共鳴しメンバーとなったようですが、集団生活に窮屈さを感じたのか、僅か7ヶ月で脱会しています。
新島淳良
新島淳良(にいじまあつよし)さんは、日本の中国文学者で元早稲田大学の教授、そしてコミュニティー活動家でもあります。
新島淳良さんは1970年代にヤマギシ会に参画し、1978年に一度離れました。
しかしその後、再びヤマギシ会に戻り、広告塔のような役目を担うようになったそうです。
数々の問題を起こしたヤマギシズム学園の設立を提唱したのも、新島さんですね。
新島さんは毛沢東思想の熱狂的な信奉者で、個人よりも公共の利益や福祉を優先する社会主義的思想の持ち主だったようなので、ヤマギシ会はピッタリだったのでしょう。
小野さやか
出典:アイデアニュース
小野さやかさんは、日本の映画監督です。
小野さやかさんはドキュメンタリー映画『アヒルの子』という作品を撮っているのですが、この作品は5歳の時にヤマギシ会に預けられたという小野さやかさん自身の経験を元に制作されたそうです。
小野さんはヤマギシ会に預けられた際、「自分は捨てられたのだ」と思い、今でもそれがトラウマになっているみたいですね。
ヤマギシズム学園の実態から、過酷な子供時代を過ごしたことが窺えます。
高田かや
高田かやさんは、19歳までヤマギシ村で集団生活を送っていたという漫画家。
ヤマギシ村での生活をありのままに描いたコミックエッセイ『カルト村で生まれました。』で有名になりました。
彼女が描いた漫画をきっかけに、ヤマギシ村の恐ろしさを認識した人は少なくなかったはず……。
ヤマギシ会の実態をもっと詳細に知りたい人は、高田さんのコミックエッセイに目を通してみてはいかがでしょうか?
富田倫生
著作家であり編集者、そして電子図書館サイト『青空文庫』の主宰者である富田倫生(とみたみちお)さんも、ヤマギシ会との関連が噂された1人です。
富田倫生さんは著作権の保護期間延長に反対しており、創作物は「個人の資産ではなく社会の資産にすべき」だと主張していました。
ヤマギシ会の参画者であったという証拠はありませんが、富田さんの考え方はヤマギシ会の理念と一致する部分がありますね。
松任谷由実
シンガーソングライターのユーミンこと松任谷由実さんには、ヤマギシ会に入会していたのではないか、という噂がありました。
しかし、これはデマ情報です。
松任谷由実さんは、芸能の神としても有名な弁財天が祀られている「天河大弁財天社」の信者であることがわかっています。
どうして松任谷由実さんがヤマギシ会のメンバーだというデマが流れたのか、その理由は明らかになっていません。
大仁田厚
日本のプロレスラーであり、政治家、タレント、俳優としても活動している大仁田厚(おおにたあつし)さんも、ヤマギシ会の参画者ではないかと噂された1人。
しかしこれもデマである可能性が高いようです。
大仁田厚さんはヤマギシ会ではなく、宗教法人「三穂の家」に所属しているといわれています。
三穂の家は「今後日本は災害に見舞われる。生き残るには『三穂の郷』に住まないといけない」などといって大騒ぎをしていました。
「三穂の郷」と「ヤマギシ村」の情報を一部の人が混同した結果、大仁田厚さんはヤマギシ会の一員である、という噂に繋がったのかもしれませんね。
錦野旦
歌手、俳優、タレントである錦野旦(にしきのあきら)さんにも、なぜかヤマギシ会の参画者であるという噂が!
しかし錦野旦さんは、日蓮正宗の信者であることで有名です。
それなのになぜ、錦野旦さんがヤマギシ会の参画者だという噂が流れているのか……謎ですね。
松任谷由実さんや大仁田厚さんもそうですが、芸能人が村に入って働かなくてはならないヤマギシ会に参画することは、現実的に厳しいでしょう。
芸能人がヤマギシ会の参画者であるという噂は、基本的にデマだと考えて良さそうです。
ヤマギシ会は今どうなっている?
出典:ヤマギシのむらnet
ヤマギシ会は現在も存在しており、ヤマギシ村では参画者たちが集団生活を送りながら相変わらず農業・牧畜業に従事しています。
様々な事件を起こし、漫画や映画でその実態を暴露され、カルト村と呼ばれるようになってもなお活動を続けているヤマギシ会。
ここからは、現在のヤマギシ会がかつてのヤマギシ会と比べてどうなっているのか紹介していきます。
日本人参画者は減少!しかし拠点は海外に拡大
出典:ヤマギシのむらnet
オウム真理教関連の事件が起こって以降、日本ではカルト集団に対する目が一層厳しくなりました。
そのため、カルト集団はその数を減らしており、ヤマギシ会も日本国内の活動は縮小傾向にあります。
しかし、ヤマギシ村は海外に進出しており、外国籍の参画者は4万人から5万人ほどいるのだとか……。
世界的に見ると、まだまだ精力的に活動しているようですね。
子供の待遇改善
出典:ヤマギシのむらnet
1994年に「ヤマギシを考える全国ネットワーク」という被害者団体が、ヤマギシズム学園内で行われていた体罰などを問題視し、世間にそれを訴えました。
結果、ヤマギシ会は子供の待遇改善に乗り出したようです。
以前は、子供は親とほとんど会うことができませんでしたが、現在は夕食時や週末を家族と過ごせるようになり、また食事も1日3食、十分な量が与えられるようになったのだとか。
また、これまで子供は十分な教育を受けることができず、村という狭い社会に押し込められていましたが、現在は街に出て暮らせるようになっているようです。
今でも募集されている合宿参加者
出典:ヤマギシズム
ヤマギシ会は、自分たちの村のことを「子ども楽園村」と称し、夏の合宿に参加する子供を募っているようです。
子供たちは合宿で寝食を共にし、自ら暮らしを作る力を手に入れる……というものらしいのですが、ヤマギシ会の実態を知ってからこの合宿の案内を見ると、なんとなく薄ら寒いものを感じますね。
何も知らない人が見たら、子供たちが単純にキャンプをしてひと夏の思い出を作るような告知になっています。
うっかり応募してしまう人もいるんじゃないでしょうか……?
芸能人には向かないカルト集団「ヤマギシ会」
ここまで、ヤマギシ会に関する情報や関連事件の概要、ヤマギシ会の参画者であると噂されている有名人の情報を紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
ヤマギシ会の活動内容を見ると、社会主義的理念を持った団体であること、拘束時間の長さから多忙な芸能人には向かない集団であるということがわかったかと思います。
世の中には様々な集団がいるものですね……。
現在は縮小傾向にあるようですが、うっかり出会って勧誘されないよう気をつけましょう。
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